元フリーランス(´ ºムº `):法人化した理由とフリーランス時代の単価について

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この記事は フリーランスの今年とお金の話 Advent Calendar 2016 の 7日目の内容です。

2014年と2015年も フリーランス Advent Calendar を書いていたいたので、今回で3回目の内容となります。

2015年: フリーランスになってからの仕事のしかたや周りとの連携などについて
2014年: フリーランスになって3年が経ち、4年目で振り返る様々なこと

2016年はフリーランスを卒業し、法人化をしたので、自分にとってはとても変化のある一年だったと、そんなことを思い出しながらこのエントリーを書いています。

今回のアドベントカレンダーの話題が出始めてすぐの時に、一昨年・昨年の フリーランス Advent Calendar 発起人のすみだあやかさんにメッセージをしてみたのですが、「「元フリーランス」ももちろん歓迎です、会社になってあれこれ聞きたいです!!」と言われたこともあり、今年も色々と書こうと決めておりました。

フリーランスではなくなってしまいましたが、これまでの経験についてと、法人化してどうなったのかを書いておこうと思います。

改めて、自己紹介

今年もはじめてこのブログを読む方もいると思うので、簡易ですが自己紹介を入れておきます。

ハムです (´ ºムº `)

ハム

札幌で2011年8月22日〜2016年2月1日までフリーランスをしていた、現在は株式会社HAMWORKSの代表をしている「ハム」です。本名で覚えてもらいたいところですが、本名で活動をするよりも覚えてもらいやすい、このニックネームとアイコンで自己紹介している最近。

(´ ºムº `)の顔文字で表示されたりもします。この顔文字だけで「ハム」と表記していることもよくあります。

もう少し具体的に自己紹介をしたいところですが、1〜2年前の2014〜2015年のときに書いたエントリーを是非読んで下さい。

2015年: フリーランスになってからの仕事のしかたや周りとの連携などについて2014年: フリーランスになって3年が経ち、4年目で振り返る様々なこと

(´ ºムº `)の今と、法人化のきっかけ

2016年2月2日に、フリーランスから株式会社HAMWORKSに法人化をしました。

改めて、株式会社HAMWORKSを設立しました

フリーランスが嫌になったとかではなく、大きな理由は2つときっかけ一つ。大きな理由については以前の設立エントリーでも書いているのと後述している内容になりますが、理由とは別のきっかけとなった出来事を書いておくと、一緒に仕事したいと思う人が退職したからです・・・え?

一緒に仕事をしたいと思った人?

会社勤めだった、今はうちの社員になった人ですが、その人が2015年末近くになって会社をやめようとしている旨の話ききました。無理やり辞めさせての引き抜きとかはではなく、前からやめるかもしれない計画を話しが聞こえていたので、本当に辞めるってなったらフリーランスにでもなって一緒にユニットで仕事回したいな!とその時までは考えていました。 辞めたらその人もフリーになるのかなとイメージしていたからでもあるのですが、その退職する話を聞いたときに「フリーになるの?」と聞いたところ、その意志はなく、どこか他の会社勤めをしようと思うと・・・

なんですと?

どこかに行ってしまうとなると、その人と一緒に仕事ができないではないか!?と、いう考えから、それなら法人化するから仕事やってよ・・・という突拍子もなく考え始めたのがその時でした。

それまでは全然法人化とか考えてもいなかったのですが、そのきっかけがあってから、本当に法人化?というのもなんども考えた末で、リスク分散などなども得られるという判断から、一気に法人化へとすすめました。

いろいろあって、その人が入社になったのは法人化した半年後になってしまいましたが(苦笑)

他の会社にも参画

2016年用に一つ情報を加えるとすると、前述のように今は株式会社HAMWORKSの代表にもなっていますが、昨年にもご紹介をした bit part の業務執行社員にもなることになりました。

bit part メンバーが増えました!! | bit part blog

bit part のメンバーになったとはいえ、仕事が倍になるとかそういうことではないです。どちらかというと、bit part の方では、うちの会社でまかないきれない各種CMSの提案や実装までも行えるようにして、全体でできないところをカバーしたり、ときには学びあったりして成長していけるような体制にしている状態です。

これまで同様に、私が法人化して会社として仕事を受けるようになっても、bit part は CMS やシステムのテーマ・テンプレート作成まで行うことが多く、さらに弊社側でデザイナーも参画したことにより、デザインも自社でできる体制にしています。CMS の構築に関しては bit part メンバー(@mersy さん と @tinybeans さん、秋田の @BUN さんと、私と同じ札幌の @hei_a さん)と協力して行うことがほとんどです。案件のフロントエンドのコーディングをHAMWORKSのメンバーが専任で担当しています。

仕事の作業的な意味での二足わらじというわけではないですが、互いに互いのリソースを活用し合えるという利点が大きい現状になっています。

税金面な理由のお話

お金の話をする前に戻って、フリーランスを卒業した理由の一つ、税金関係の面も書いておくことにします。

法人化を報告していたエントリー(改めて、株式会社HAMWORKSを設立しました)でも触れていますが、個人でやっていくと、私個人に大きく負荷がかかる状態になってしまっていました。特に税金関係の面の負担が大きく、その負担を少しでも減らしたかったんです。

今回お金話題なので、税金いくらなのさ?って話に一応ふれておくと、各都道府県税と市町村税、合計すると所得の10%分、翌年の税に反映されます。10%って例えばで500万の所得があれば50万円分も負担かかることになります(私の所得が500という話ではないです)。それが四半期に1度請求されると、1回あたり12万5000円、一回に10万以上も請求がくると思うと、本当につらいです。

フリーランスをしていると、翌年の税金のことも考えて予め残しておかないと後々困る事態になるので、そのあたりも考慮しながら生活する必要がでてきます。

ちなみに都道府県税と市町村税だけ気にしたらよいかといったらそうではなく、その他にも国民年金と健康保険の支払いものしかかってきます。フリーランスの売上のうち、3割は残しておくようにと、様々なところで耳にしたり目にしたりするのですが、その理由がこれらの税金があとからかかってくることにあります。全部合わせると3割残しておかないと支払いができなくなってしまうためです。

その負担額がフリーランスですと稼げば稼ぐほど、どんどん大きくなる一方なので、その負担をできるだけ減らしていきたいということも要因として、法人化を決意することになりました。

稼ぎたいとおもって稼いでも、稼いだら稼いだだけ出ていく負担も大きくなっていくので・・・なかなかつらいものがありますね。

フリーランスと受注単価について

昨年書こうと思って、うまくまとまらずお金について書くのを断念したのですが、簡易だけでも触れておこうかと思います。

フリーランスになると自分で価格設定ができるようになるので、どれくらい稼ぎたいかなどで設定額を変える事ができますが、その単価をいくらに設定するかでお仕事に差がでてきます。

Webの制作での金額も同じで、1日あたりの作業費いくらか?で考えることがよくあり、私も基本は1日あたりいくら稼ぎたいかを基準に金額をきめていることが多いです。

フリーランスを始めてすぐのころは、人日あたり2万として単価をかんがえていました。1日8時間の仕事で20日間働くと、その仕事が継続的に取れるようであれば2万×20日で1ヶ月40万の稼ぎとなります。

この設定がよかったのか、フリーランスになってすぐに4案件ほど相談をいただけました。

スケジュールも重要

さきほどの4案件、2ヶ月でできるくらいの4案件で、どれもスケジュールが重ならないスケジュールだったので受注をしていたのですが、素敵なことにどの案件もデザインが遅れたりなどでリスケになり、気がつけば4案件同時進行という事態に。それでも4案件中3案件はなんとかスケジュール内で対応をすることができたのですが、1案件は予定に間に合わず、かなりの遅れをだしての納品となりました。

スケジュールの遅れは信用につながる

このときの一番の失敗は、スケジュールの遅れでもなく、遅れる可能性が見えた時点で事前にクライアントに相談をしていなかったことにあります。ギリギリまでねばって間に合いませんでしたという報告をしてから、納期を伸ばしてもらうよりも、事前に正直に相談をだしてスケジュールに調整が可能なのかどうか相談をしておくことで、クライアント側でも余裕ができ、あらかじめ対策をたてたり納期を伸ばす画策をしたりができるようになります。もしもギリギリまで相談をしていない人は、事前に正直に相談を出せるようになっておくほうが良いです。

受注単価とスキルと需要

1日いくら稼ぎたいかで金額を決めたとしても、クライアントが求めている金額やスキルに合致しなければ、当然受注までこぎつけることができなかったりします。例えば1日6万の設定にしてしまうと、先程の1ヶ月20日の計算に当てはめると1ヶ月で120万にはなりますが、持っている「ウリ」になる「強み」がなければ受注になる案件は少ないか、最悪の場合は案件が来なくなる可能性があります。そのため人日で6万設定ですと、数字上Maxで働けたら120万になりますが、継続的に仕事をこなさないとその数値にはたどり着かず、むしろ受注できないことで 目標額を大幅下回るような状況にもなりかねません。最悪受注なしの0や、今後の相談もなくなったりも。

ちなみに、強みとは、例えば作業スピードがものすごく早いとか、ソースコードの可読性が高くミスも少ない品質の高いものになっているとか、レスポンシブでも柔軟に対応できるなどなどです。

フリーランスが必要とされる多くの場合は価格面

しかし、残念なことに、フリーランスの多くの場合は品質などよりも、いかに安く、そして素早い対応ができるかで相談がくることが多いです。自分をどう売り出すかにもよりますが、経験上、多くは価格が決め手なのかなと思います。

もちろん、価格だけを見られるというわけでは全くなく、信頼とかスキルだとか品質なども関わってくる部分ですが、それらに見合わない価格をつけて見積もってしまう場合は、依頼につながらないと思います。

それなら安くしたらよいのか?

安くすることで、お仕事は少なからずどこかで見つかると思います。しかし、その安くした金額で生活できるかどうかが次の課題になってしまいます。

安くしたとしても毎日必ず仕事があるわけではないので、生活ギリギリかそれ以下になってしまうリスクも発生します。その逆で、受けきれないくらいに相談がきてしまい、結果、スケジュールに遅れがでたり相談の確認に時間を取られて余計に時間がかかってしまったり、などという問題も発生する可能性が出てきます。

自分のやれる範囲か少しそれより多いくらいの量とレベルのもので、出来る限り空いた期間を少なくしながら仕事できるような体制にしておくほうが、体調崩すリスクや精神衛生上削られるリスクも出来る限り減らせるので、今自分が世間でどのようなくらいの認知と需要があって、その需要にどれくらい(需要より少なめにか、需要より多くか、需要通りくらいか)できるかを調整しながら仕事を受けるのが妥当ではないかと思います。

私(´ ºムº `)のフリーランスのときの人日単価

私の場合の方針は、基本人日3万から相談受けますよと予め伝えたうえで、できることを説明するようにしていました。得意なことはどのブラウザでも表示が問題ないように、レスポンシブの対応もできて(かつ様々な端末での知見があり)、アニメーションさせたりする部分をJavaScriptでも実装できる(JavaScriptの実装できます、いまだったらCSSにするかJavaScriptにするか適切な判断をして実装できます)というのをメインの強みとして伝えることで、相談を受けるようにしていました。

3万からで相談を受けられますよと言い始めたくらいからの変化もありました。2万でできますよと謳っていたときは、安さと短期スケジュール重視な案件が多く相談きていました。それが3万円ですよと、ある程度公言し始めたことで、安さよりもスキル的に対応が可能化どうかの相談や、デザインなどはあるけどどう実装してよいのかの確認や、必要なテクニカルなディレクションが多く発生するような相談や、そして・・・燃え盛っているところの火消し要因的な相談へとシフトしていった印象です。

フリーランスの後期くらいからは3万円でもまかないきれないような依頼が増えてきたこともあり、3〜4万をベースに組み立てるようになっていました。そして、法人化した現在は4〜5万と、フリーランスの頃にくらべたら高めな設定にはなってきていますが、多少幅をもたせた人日単価で計算するような見積りにシフトしています。

4〜5万とはいえ、効率化ができて、ディレクションをできるだけすくなく、指示を適切にいただけるようなところと仕事をする際は、以前と同じくらいの金額で見積りすることもあります。

重要なのは「何ができるか」よりも「何がしたいか」

重要なのは金額の設定もそうですが、相談側はフリーランスの人柄や何ができるのかを見ていたり考えたりして依頼をしてくるので、フリーランス側も、何ができて、何をやりたいかを伝えられるように、実証できるようにしておく必要があります。ちなみに、相談を実際にだしてくる人の多くが、何ができるかよりも「何がしたいですか?」という質問を投げかけてくることが多いです。私の場合はコーディングがメインということもあり、HTML・CSS・JavaScriptの作業を中心にと、フリーランスのときはこたえていたため、コーディング部分の仕事を中心にいただくことがほとんどでした。

単価から換算してのページ単価で見積り

私の場合、見積りを出す場合は上記の人日単価をベースに、それをページや機能単価に変えて見積りをだしています。ベースとなるページのトップやモジュールの一覧ページなどは設計なども含めながら作業をするので時間がかかるため、それぞれ1人日前後くらいで見積りを考えることがほとんどです。ベースのページで共通部のパーツができてしまったあとは、メインのコンテンツ部分を変えることがほとんどなので下層のページは1ページあたりの単価はトップページと比べると低めの金額でお見積しています。

ちなみに,その際に出す項目はページ単価単位でだしますが、その中には各ブラウザのチェックや管理進行費なども込で考えることがよくあります。理由は別途でだしたところで、これなに?どういうこと?と見積りに対する質問が発生し、その返答などで時間を要してしまうので、出来る限りはページの制作費にまとめて込で考えて見積りを出しています。

見積りについてはもう少し掘り下げたいところですが、今回はこれくらいにしてまたの機会にエントリーしてみようと思います。

最後に

簡易な内容になってしまいましたが、単価をいかにあげるか、どう案件をこなしていくかの戦略をきちんと考えられるかどうかが、フリーランスを続けていくうえでの鍵になるのではないかと思っています。

安ければ仕事は間違いなくあるのですが、それでいいのですか?と、考えるときを作るのも重要だと思います。

余談:登壇依頼

2014年と2015年で フリーランス Advent Calendar を書いたことが、ある意味きっかけだったのですが、発起人のすみだあやかさんのブログの内容も毎回大変興味深いということもあり、今年思い切って 北海道で開催している SaCSS の登壇を依頼させてもらいました。

お話いただいた内容もとても充実していたもので、その際のスライドもかなりのViewとシェアがあり話題となりました。

フリーランスデザイナーの「つくること、はたらくこと」 // Speaker Deck

ブログがご縁での依頼だったのですが、登壇いただいてとても良かったです。また依頼をするつもりで、現在計画中です。興味がある方はぜひ、イベントで札幌に足をはこんでください。